青い顔かけの勇士
鈴木三重吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)お家《うち》は
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)兵たいのなり[#「なり」に傍点]を
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いろ/\
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一
トゥロットのお家《うち》は貴族で、お父さまは海軍の士官ですが、今は遠方へ航海中で、トゥロットはお母ちやまや女中のジャンヌたちと一しよに、海岸の別荘でくらしてゐます。トゥロットにはイギリス人の或《ある》ミスが、まいにち家庭教師にかよつて来て、町中や浜べへつれて出たりして、いろ/\のことををしへてゐます。
「おぼつちやま、ミスがいらしつて、おまちになつていらつしやいますよ。」と、けさもジャンヌがよびに来ました。トゥロットは、つんぼのやうなふりをして、ぽかんと窓の外を見てゐました。
「これ、坊や。ジャンヌがよんでるのが聞えないの。」とお母ちやまがおつしやいました。
「聞えたの。」と、トゥロットは、むじやきな目を上げてこたへました。
「だつてお母ちやま、わかつてるでせう? ほら。ぼく
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