つかんでゐます。ふしくれだつたそのからだは、ちようど、うすつぺらな石炭袋へ石炭をぎゆう/\つめこんだやうなかつこうです。茶のサージ服の下には、ごつ/\した骨ぐみが見えてゐます。たゞ服のまへの方だけが、くびのところから足のあたりまで、すべつこく、まつすぐに見え、まつ平《たひら》になつてゐます。
ミスは、やせた手をつき出しました。トゥロットは、うでをのばしてその手につかまりました。ミスはトゥロットの手の平をぎゆうとにぎつて、づしん/\と足をふみながら、さきに立つて歩き出しました。トゥロットは、せい一ぱいに大またをひらいてついていきます。それは、まるで足長蜘蛛《あしながぐも》が小さなワラヂ虫をおともにつれて出かけるやうなかたちでした。
ミスは、れいのやうに、せんさくをはじめました。
「トゥロットさん。きのふはどんなわるいことをしました? 一とうわるかつたとおもふことを言つてごらんなさい。」
トゥロットにはお話がこんなふうにはじまるのは、かなひませんでした。かういはれると、うるさい、いやァなことをすつかりおもひ出さなければなりません。しかし、いやでもおもひ出さなくてはすまされません。トゥ
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