れば、きつとくれます。
十二のびん[#「びん」に傍点]は、もらつたらすぐに口をお開けなさい。そして鐘だけもつてかへつていらつしやい。
しかしよく言つておくが、王さまの御殿を出てしまふまでは、けつしてその鐘は鳴らしてはいけませんよ。何かへぶつけてひとりでに鳴つてもいけないのだから、よく気をつけてね。
そして御殿を出て、戸口を少しはなれたら、お前のありたけの力を出して、その鐘を三べんおたたきなさい。分つたね。それでおまへの行つた用事はすむのです。」
お母さまはかう言つて、くはしくをしへました。
六
若ものはすぐにまるめろ[#「まるめろ」に傍点]の枝を一と枝をつて、湖水の中へとびこみました。すると、いつの間にか、数のしれないほど大ぜいの、おそろしいお化《ばけ》が、ぐるりとまはりをとりまきました。見ると、頭が三つあつて、火のやうな目がたくさん光つてゐる化物《ばけもの》や、頭の先の平つたいのや、円いのがゐるかと思ふと、顔だけ人間でからだが大きな/\大とかげになつてゐるのや、そのほか、馬の頭をつけた竜《りゆう》だの、草や木に巻きついて、それを片はしから食つてしまふやうな、動
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