す赤い色をした蛙《かへる》が、いくひきもとまつてゐて、青い蜘蛛たちと一しよに、きれいな声で歌をうたつてゐます。
そのお部屋に、長い/\青いひげの生えた王さまが、緑色のびろうどの着物を着て、帯のかはりに、銀色の蛇《へび》をまきつけて、椅子《いす》にかけてゐます。
その両側には、私の二人のお姉さまが坐《すわ》つて、魚のひれ[#「ひれ」に傍点]でお父さまをあふいでゐます。
おまへが行くと、お父さまやお姉さまは、みんなでおまへのごきげんを取つて、宝物のおくらへつれて行つて、金や銀やダイヤモンドを上げようと言ふにきまつてゐます。しかし、そんなものには一さい手をふれてはいけません。それよりも、そのおくらの中には、小さなびん[#「びん」に傍点]が十二はいつてゐる、硝子《がらす》のはこが一つあるから、それをおもらひなさい。
それから、そのつぎには同じおくらのすみの方にかくしてある、さびついた鐘をおもらひなさい。それは、あすこの、あの礼拝堂の鐘なのです。
もし、その鐘だけはやられないと言つたら、そんならまるめろ[#「まるめろ」に傍点]の枝でその鐘をたゝくよと言つておどかしてごらんなさい。さうす
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