した。すると、わにはうけあったとおりに、一日のうちに命をもとの浜までおつれ申しました。
命はご自分のつるしておいでになる小さな刀をおほどきになって、それをごほうびにわにの首へくくりつけておかえしになりました。
命はそれからすぐに、おあにいさまのところへいらしって、海の神が教えてくれたとおりに、
いやなつり針《ばり》、
悪いつり針、
ばかなつり針。
と言い言い、例のつり針を、うしろ向きになってお返しになりました。それから田を作るにも海の神が言ったとおりになさいました。
そうすると、命の田からは、毎年どんどんおこめが取れるのに、おあにいさまの田には、水がちっとも来ないものですから、おあにいさまは、三年の間にすっかり貧乏《びんぼう》になっておしまいになりました。
するとおあにいさまは、あんのじょう、命のことをねたんで、いくどとなく殺しにおいでになりました。命はそのときにはさっそく満潮《みちしお》の玉を出して、大水をわかせてお防ぎになりました。おあにいさまは、たんびにおぼれそうになって、助けてくれ、助けてくれ、とおっしゃいました。命はそのときには干潮《ひしお》の玉を出し
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