るうちに、そのかずらの葉の落ちたところへ、ぶどうの実がふさふさとなりました。女鬼どもは、いきなりそのぶどうを取って食べはじめました。
 神はその間に、いっしょうけんめいにかけだして、やっと少しばかり遁《に》げのびたとお思いになりますと、女鬼どもは、まもなく、またじきうしろまで追いつめて来ました。
 神は、
「おや、これはいけない」とお思いになって、こんどは、右のびんのくしをぬいて、その歯をひっ欠いては投げつけ、ひっ欠いては投げつけなさいました。そうすると、そのくしの歯が片《かた》はしからたけのこになってゆきました。
 女鬼《おんなおに》たちは、そのたけのこを見ると、またさっそく引き抜いて、もぐもぐ食べだしました。
 伊弉諾神《いざなぎのかみ》は、そのすきをねらって、こんどこそは、だいぶ向こうまでお遁《に》げになりました。そしてもうこれならだいじょうぶだろうとおぼしめして、ひょいとうしろをふりむいてご覧になりますと、意外にも、こんどはさっきの女神のまわりにいた八人の雷人《らいじん》どもが、千五百人の鬼の軍勢をひきつれて、死にものぐるいでおっかけて来るではありませんか。
 神はそれをご覧に
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