はすぶすぶ」と言いました。それは、中は、がらんどうで、外はすぼまっている、という意味でした。
若い神は、すぐそのわけをおさとりになって、足の下を、とんときつく踏《ふ》んでごらんになりますと、そこは、ちゃんと下が大きな穴になっていたので、からだごとすっぽりとその中へ落ちこみました。それで、じっとそのままこごまって隠れていらっしゃいますと、やがてま近まで燃えて来た火の手は、その穴の上を走って、向こうへ遠のいてしまいました。
そのうちに、さっきのねずみが大神のお射になったかぶら矢をちゃんとさがし出して、口にくわえて持って来てくれました。見るとその矢の羽根のところは、いつのまにかねずみの子供たちがかじってすっかり食べてしまっておりました。
三
須勢理媛《すぜりひめ》は、そんなことはちっともご存じないものですから、美しい若い神は、きっと焼け死んだものとお思いになって、ひとりで嘆《なげ》き悲しんでいらっしゃいました。そして火が消えるとすぐに、急いでお弔《とむら》いの道具を持って、泣《な》き泣《な》きさがしにいらっしゃいました。
お父上の大神も、こんどこそはだいじょうぶ死ん
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