く隊、水たまりを干しさらへる隊、家々へ石油をくばる隊といふふうに、何百人といふ人数をはいぞくさせて、たえ間もなくはたらかせ、列車ごとに、かならず病院車をつけなぞして、患者はすぐ隔離するといふ組織にし、一方、全従業員に一さい酒類を飲ませないことにして、健康と勤勉の率を上げ、ぐん/\水路をほりひらかせました。
最初のフランス人ルッセは水路面を海面と同じ高さでとほす設計をしてゐたのですが、それはチャグレスなぞといふ河々の水があふれ出すのを勘定に入れなかつたからでした。ゴーガス大佐は、その河々の水を引いて幅五百フイート、長さ七マイル、海面から八十五フイートある水路を作り、下の方へ三区劃の水門をこしらへて、船がその中へはいると、水をふやして、つぎのたかい水面へおくりこむといふ仕組みにして、たかい水路をもらく/\と通過させることに成功しました。
全工事に動いてゐる機関車が五百台、浚泥機《しゆんでいき》百台、トラック、ポンプ、エレヴェイター、起重機各五千、それでもつて、どん/\谷をうづめ、山をほりくづしたもので、海へはこび出した泥《どろ》や土や岩石は総計二十億トンと計上されてゐます。大佐はかうし
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