かたつむり
鈴木三重吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)家《うち》の中へ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)かたつむり[#「かたつむり」に傍点]が

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)さく/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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    一

 トゥロットのお母ちやまは、朝、いろんな人たちと一しよに、馬車でそとへお出かけになりました。ド・ヴレーさんといふよそのをぢさまが、馬のたづなをとり、もう一人のをぢさまがラッパをならして、みんなでたのしさうに出ていきました。トゥロットは、ちひさくて、足手まとひになるので別荘にのこされました。
 トゥロットは、女中のジャンヌと二人であそぶつもりでゐたのですのに、お母ちやまはトゥロットがたいくつするだらうとおもつて、先生のミスに、来てやつて下さいとおたのみになつたものです。トゥロットは、あゝあと、がつかりしました。お母ちやまは、トゥロットにさうだんもなさらないで、いやな人をおよびになるのですからたまりません。
 ミスはお庭のおくのべンチにこしか
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