間の思考の運びを數學の計算の運びのやうに間違なくし得るやうに出來るものかどうかは分りかねる。しかし、少くともそれに近づくやうに我々の言語といふか、或は寧ろ思考の方式を發育させる事は出來るかも知れない。」1といふのであるが、我々語學教育に携はる者の考ふべきことである。
1 寺田寅彦 : 「物質と言葉」(昭和八年、鐵塔書店)。
(2) Basic の語彙及び夫を適當に組合はせて得た熟語の數が最初から一定してゐて、學習の目標が一目で見られるやうに表示されてあるから、恰も旅行すべき土地の大體の地理を前以て知つてゐるやうに、學習者には勵みを與へ、又教授者には常に全體的見地より系統的に、且つ組織的に教授を行ふことを一層容易ならしめる。その語彙850の中600までが、名詞の形であることからでも分るやうに、Basic は名詞が重要なる役割を演ずるところの組織である。而して、名詞に重きを置く言語組織の一つの重要な利點は、繪に依る教授を大いに利用して、具體的なものより學習を始め得ることである2。同時に不急且つ不必要と思はれる所謂動詞を排除してあるから、記憶の負擔を大いに減ずることになる。元來英語は
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