たしの息子でなかったら、わたしは即刻、おまえさんに決闘を申しこむところなんだ……武器は拳銃《ピストル》、距離は三歩……ハンカチを上からかぶせてな……ハンカチを!」彼はじだんだを踏みながら、ことばを結んだ。
こうした、生涯を茶番狂言に終始した嘘つき親爺でも、興奮のあまり実際に身震いをして泣きだすほどの、真に迫った心持になる瞬間があるものである。もっともその瞬間(もしくはほんの一秒もしてから)に、『えい、恥知らずの老いぼれめ、貴様がどんなに『神聖な』怒りだの『神聖な』怒りの瞬間を感じたって、やっぱり貴様は嘘をついているのだ、今でも茶番をやっているのだ』と肚の中でつぶやくのではあるが。
ドミトリイ・フョードロヴィッチは恐ろしく顔をしかめて、なんとも言いようのない侮蔑《ぶべつ》の色を浮かべながら、父をちらっと眺めた。
「僕は……僕は」と彼は妙に静かな、押えつけるような声で言った。「僕は故郷《くに》へ帰ったら、自分の心の天使ともいうべき未来の妻といっしょに、父の老後を慰めようと思っていたのです。ところが来てみると、父は放埒《ほうらつ》きわまる色情狂で、しかも卑劣この上もない茶番師なんです!」
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