書きこんで、お寺様へ持って行ってお経をあげておもらいよ。そうすれば息子さんの魂が悩みだして、きっと手紙をよこすようになるよ。それは現金なもので、これまでもたびたび験《ため》されたことなんだから』って、そうステパニーダさんが言うんですけど、わたしはどうかと存じますんで!……。神父様、いったい本当でございましょうか、そんなことをしてよろしいものでございましょうか?」
「そのようなことは考えることもなりませぬぞ。尋ねるのも恥ずかしいことじゃ。第一、生きておる魂を、それも現在生みの母が供養するなどということが、どうしてできるのじゃ? それは大きな罪で、妖術《ようじゅつ》にも等しいことじゃ。ただ、そなたは何も知らなんだのじゃからぜひもないが。それよりも、すぐに、たれにでも味方をして助けてくださる聖母様にお祈りをして、息子の息災でおりますように、また間違った考えを起こした罪をお許しくださりますようにと、お願いしたがよろしいぞ。それからプローホロヴナ、わしはそなたにこれだけのことを言っておこう。――その息子さんは近いうちに自分で帰って来るか、それとも手紙をよこすに決まっておる。そなたもそのつもりでお
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