Aわれわれの足をなめまわしながら、血の涙を注ぐことだろう。そこで、われわれはその獣にまたがって杯を挙げる。そして、その杯には※[#始め二重括弧、1−2−54]神秘※[#終わり二重括弧、1−2−55]と書かれているだろう。しかし、その時になって、はじめて平和と幸福の王国が人類を訪れるのだ。おまえは自分の選ばれた者ども以外にはないのだ。ところが、われわれは、すべての者をいこわせることができる。まだまだそれくらいのことではない、これらの選ばれた者どもや、選ばれたる者になり得る強者の多くは、もはやおまえの出現を待ちくたびれて、自分の精神力や情熱をまるで見当違いの畑へ移してしまっている。まだこれからも移してゆくだろう。そしてついには、おまえにそむいて自由の反旗を翻すに違いない。しかし、おまえ自身もこの反旗を翻したではないか。ところが、われわれのほうでは万人が幸福になって、もはや反逆を企てる者も、互いに殺傷し合う者もなくなるのだ。これに反して、おまえの自由の世界では、それが随所に行なわれている。おお、われわれは、彼らがわれわれのために自分の自由を捨てて、われわれに服従したとき、はじめて彼らは幸福になれるのだとよく皆の者に言い聞かしてやろう。ところで、どうだろう、われわれの言うことは正しいだろうか、正しくないだろうか? いや彼ら自身でわれわれの言うことが正しいことを悟るに違いない。それは、おまえの自由のおかげで、どれほど恐ろしい奴隷状態と混乱に落とされていたかを思い出しさえすれば十分だからな。自由だとか、自由な知恵だとか、科学だとかは、彼らをものすごい渓谷に連れこんで、恐ろしい奇跡や、解きがたい神秘の前に立たせるため、彼らのうち頑強《がんきょう》で獰猛《どうもう》な者は自殺してしまうし、頑固であっても弱い者は互いに滅ぼし合うだろう、その他のいくじのない不仕合わせな者たちは、われわれの足もとへはい寄って、こう叫ぶのだ、※[#始め二重括弧、1−2−54]あなたがたは正しゅうございました。あなたがたのみがキリストの神秘を持っていらっしゃいます。でありまするから、わたくどもはあなたがたのところへ帰ります。どうか、わたくしどもを自分自身から救ってくださいまし※[#終わり二重括弧、1−2−55]そこで、われわれは彼ら自身の得たパンをその手から取り上げると、石をパンに変えるというような奇跡などは何も行なわないで、再び彼らにそれを、分配してやる、彼らはパンを受け取る時に、このことをはっきり承知しているけれど、彼らが喜ぶのはパンそのものよりも、むしろ、それをわれわれの手から受け取るということなのだ! なぜならば、以前われわれのいなかったころには、彼らの得たパンがその手の中で石ころになってしまったが、われわれのところへ帰って来てからは、その石がまた彼らの手の中で元のパンになったことを、悟りすぎるくらい悟っているからである。永久に服従するということがどんな意味を持っているかも、彼らは理解し過ぎるほど理解するに違いない! この理に合点のゆかぬあいだは、彼らはいつまでも不幸なのだ。だが、これを彼らに知らさないようにしたのは第一誰なのか、それが聞きたい。羊の群れを散り散りにして、不案内な道へ追いやったのは誰だ? でも、羊の群れもまた再び呼び集められて、今度こそ永久に服従することだろう。その時になって、われわれは彼らに穏やかなつつましい幸福を授けてやる。彼らの本来の性質たるいくじのない動物としての幸福を授けてやるのだ。おお、われわれは最後に彼らを説き伏せて、けっして誇りをいだかないようにしてやる。つまり、おまえが彼らの位置を高めるために、彼らに誇りを教えこんだからだ。そこでわれわれは彼らに向かって、おまえたちはいくじなしで、ほんの哀れな子供のようなものだ、そして子供の幸福ほど甘いものはないと言い聞かせてやる。すると、彼らは臆病になって、まるで巣についた牝鶏《めんどり》に雛《ひな》が寄り添うように、恐ろしさに震えながら、われわれのほうへ身をすり寄せて、われわれを振り仰ぐに違いない。彼らはわれわれのほうへ詰め寄りながらも、同時にわれわれを崇《あが》め恐れて、荒れさわぐ数億の羊の群れを鎮撫《ちんぶ》することのできる偉大な力と知恵とを持ったわれわれを、誇りとするに至るだろう。彼らはわれわれの怒りを見て、哀れにも震えおののいて、その心は臆《おく》し、その眼は女や子供のように涙もろくなるだろう。しかし、われわれがちょっと合い図さえすれば、たちまち身も軽々と、歓楽や、笑いや、幸福の子供らしい歌へ移るのだ。むろん、われわれは彼らに労働を強いるけれど、暇なときには彼らのために子供らしい歌と合唱と、罪のない踊りの生活を授けてやる。ちょうど子供のために遊戯を催してやるようなものだ。もちろん、
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