い。ずいぶんおもしろいから。
 その童謡の中には、青い萌黄色《もえぎいろ》の月の夜《よ》のお月さまをとびこえるめうしのダンスや、紅《あか》い胸のこまどりが死んで白嘴《しらはし》がらすがお経をよむのや、王さまの前のパイのお皿からうたいだす二十四匹の黒つぐみや、「パンにおせんべい」とうなるロンドンのお寺の鐘や、おうちが大火事でプッジングのおなべの下にもぐりこむてんとうむしのむすめや、赤いにしんにのまれるくろんぼうの子供や、かごにのって青天井《あおてんじょう》のすすはきしにお月さまより高くのぼるおばあさん、おくつの中に子供をどっさりいれてしまつにこまるおばあさん、挽割麦《ひきわりむぎ》を三斤《さんぎん》ぬすんでお菓子をこさえる王さまや、拇指《おやゆび》よりもちいさな豆つぶのだんなさま、赤いおわんにのって海へでるおりこうさん、気ちがいうまにのってめちゃくちゃにかけてゆく気ちがいの親子、そうした、それはもうどんなに不思議で美しくて、おかしくて、ばかばかしくて、おもしろくて、なさけなくて、おこりたくて、わらいたくて、うたいたくなるか、ほんとにゆっくりとよんで、そうしてあなたがたも今までよりもずっと
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