ちゃなくちばしと赤いちっちゃな水かきとをもったちっちゃながちょうをおひざにのっけて、赤い御本をひらいている画《え》のついた表紙のや、三角帽《さんかくぼう》のリボンに鵞《が》ペンをさしたおばあさんがテエブルの前に腰をかけて、なにか書いていると、そのそばから大きながちょうがくちばしをあけて、針の頭のように眼《め》をちっちゃくしてのぞきこんでいる画のや、がちょうとおばあさんが空を翔《か》けているのや、緑色《みどりいろ》の牧草《まきぐさ》の中に金の卵をおとしている白いめんどりのがちょうのや、いろんな本がでています。
 日本ではこのわたしのが初めてです。日本の子供たちのために、わたしはこのお母さんがちょうを日本の空の上にきてもらいました。そうして空からひらひらとその唄のついたがちょうの羽根をちらしてもらったのでした。その羽根にかいてある字はイギリスの字ですから、わたしは桃色のお月さまの光でひとつひとつすかしてみて、それを日本のことばになおして、あなたがた、日本のかわいい子供たちにうたってあげるのです。そしてみんなうたえるようにうたいながら書きなおしたのですからみんなうたえます。うたってごらんなさ
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