す鐘を、
かわいそなこまどりのお葬式《ともらい》の鐘を。
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お月夜
へっこら、ひょっこら、へっこらしょ。
ねこが胡弓《こきゅう》ひいた、
めうしがお月さまとびこえた、
こいぬがそれみてわらいだす、
お皿がおさじをおっかけた。
へっこら、ひょっこら、へっこらしょ。
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天竺《てんじく》ねずみのちびすけ
天竺《てんじく》ねずみのちびすけは、
ちびだからふとっちゃいなかった。
いつもあんよでおあるきで、
たべるときゃ断食《だんじき》ゃいたさない。
さてそこらからかけてでりゃ、
けっしてそこにはもういない。
きけば、かけてるそのときは、
どっちみちじっとしちゃいないそだ。
キイキイなくのは常々《ふんだん》だ、めちゃくちゃあばれもたまたまだ。
それがさわいでわめくときゃ、けっしてだまっちゃいなかった。
たとえねこからおそわらなくとも、
はつかねずみがただのねずみでないのは御承知だ。
ところでたしかなうわさだが、
ある日、ひょっくり気がふれて、奇態な死に方した話。
とても勘《かん》のいい、金棒引《かなぼうひ》きの人たちは、
きゃつめおっ死《ち》んだで、い
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