大きな鐘の声。

さあきた、手燭《てしょく》がお床《とこ》へおまえをてらしにきた。
さあきた、首切り役人がおまえのそっ首ちょんぎりに。

  * ファシングは一ペンニイの四分の一。
[#改ページ]

 おうまのり

レディのうまのりゃ、
 ツリイ、ツレ、ツレエ、
 ツリイ、ツレ、ツレエ。
レディのうまのりゃこんなもんよ、はい。
 ツリイ、ツレ、ツレエ。ツリ、ツレ、ツレエ。

ゼンツルマンのうまのりゃ、
 ガロップ・エ・ツロット。
 ガロップ・エ・ツロット。
ゼンツルマンのうまのりゃこんなもんだ、ほい。
 ガロップ・エ・ツロット、ガロップ・エ・ツロット。

おひゃくしょうのうまのりゃ、
 ホッブルデイ・ホイ、
 ホッブルデイ・ホイ。
おひゃくしょうどんのうまのりゃこんなもんじゃ、はあ。
 ホッブルデイ・ホイ、ホッブルデイ・ホイ。
[#改ページ]

 小径《こみち》にむすめ

小径《こみち》のほとりにひとりのむすめが、
なんだかいってるけど、はっきりゃいえないで、
 ぐっつ、ぐっつ、ぐっつぐつ。

むこうの小岡にひとりの男が、
たってはいれども、じっとしちゃいられず、
 ひょっこり、ひょっこり、ひょっこりしょ。
[#改ページ]

 月の中の人

月の中の人が、
ころがっておちて、
北へゆく道で、
南へいって、
凝《こご》えた豌豆汁《えんどうじる》で、
お舌をやいてこォがした。
[#改ページ]

 十人のくろんぼの子供

十人よ、くろんぼの子供が十人よ。
おひるによばれてゆきました。
ひとりがのどくびつまらした。
そこで、九人《くにん》になりました。

九人《くゥにん》よ、くろんぼの子供が九人《くゥにん》よ。
どの子もどの子もあさねぼうで、
ひとりがとうとうねすごした。
そこで、八人になりました。

八人よ、くろんぼの子供が八人よ。
いっしょに*デボンを旅してて、
ひとりがとちゅうでとどまった。
そこで、七人《しちにん》になりました。

七人よ、くろんぼの子供が七人よ。
木ぎれきりにとみないって、
ひとりがまふたつに腹きった。
そこで、六人になりました。

六人よ、くろんぼの子供が六人よ。
はちの巣いじって、かまってて、
ひとりがくまんばちにさァされた。
そこで、五人になりました。

五人《ごォにん》よ、くろんぼの子供が五人《ごォにん》よ。
けんかしてお訴訟をおォこした、
前へ 次へ
全31ページ中11ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
北原 白秋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング