その犬《いぬ》どうした。
太鼓《たいこ》に張《は》つて、
あつちの方《はう》でもどんどんどん。
こつちの方《はう》でもどんどんどん。(東京)
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 この「お月さまいくつ」の謡《うた》は、みなさんがよく御存じです。私たちも子供の時は、よく紅《あか》い円《まる》いお月様を拝みに出ては、いつも手拍子をうつては歌つたものでした。この童謡は国国《くにぐに》で色色《いろいろ》と歌ひくづされてゐます。然《しか》し、みんなあの紅《あか》い円いつやつやしたお月様を、若い綺麗《きれい》な小母《をば》さまだと思つてゐます。まつたくさう思へますものね。

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お月《つき》さんぽつち。
あなたはいくつ。
十三《じふさん》七《なな》つ。
そりやまだ若《わか》いに。
紅鉄漿《べにかね》つけて、
お嫁入《よめい》りなされ。(伊勢)
   ※[#ビュレット、1−3−32]
ののさまどつち。
いばらのかげで、
ねんねを抱《だ》いて、
花《はな》つんでござれ。(越後)
   ※[#ビュレット、1−3−32]
あとさんいくつ。
十三《じふさん》一《ひと》つ。
まだ年《とし》若《
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