書かれて居り、また「おもほゆ」の用例の方が大部分を占めている。
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珠洲《すす》の海《うみ》に朝びらきして漕《こ》ぎ来《く》れば長浜《ながはま》の浦《うら》に月《つき》照《て》りにけり 〔巻十七・四〇二九〕 大伴家持
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大伴家持作。「珠洲郡より発船《ふなで》して治布《ちふ》に還《かへ》りし時、長浜湾《ながはまのうら》に泊《は》てて、月光を仰ぎ見て作れる歌一首」という題詞と、「右件《みぎのくだり》の歌詞は、春の出挙《すいこ》に依りて諸郡を巡行す。当時|属目《しょくもく》する所之を作る」という左注との附いている歌である。治布は治府即ち国府か(全釈)。左注の「出挙」は春、官の稲を貸すこと。「朝びらき」は、朝に船が港を出ることで、「世の中を何に譬《たと》へむ朝びらき榜《こ》ぎ去《い》にし船の跡なきごとし」(巻三・三五一)という沙弥満誓《さみのまんぜい》の歌があること既にいった如くである。この歌も、何の苦も無く作っているようだが、うちに籠《こも》るものがあり、調《しらべ》ものびのびとこだわりのないところ、家持の至りついた
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