見ると赤人の作である。赤人の作中にあっては左程でもない歌だが、その他の人の歌の中にあると斯くの如く異彩を放つ、そういう相待上《そうたいじょう》の価値ということをも吾等は知る必要があるのである。

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降《ふ》る雪《ゆき》の白髪《しろかみ》までに大君《おほきみ》に仕《つか》へまつれば貴《たふと》くもあるか 〔巻十七・三九二二〕 橘諸兄
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 聖武天皇の天平《てんぴょう》十八年正月の日、白雪が積って数寸に至った。左大臣|橘諸兄《たちばなのもろえ》が大納言|藤原豊成《ふじわらのとよなり》及び諸王諸臣を率《い》て、太上天皇《おおきすめらみこと》(元正天皇)の御所に参候して雪を掃《はろ》うた。時に詔《みことのり》あって酒を賜《たま》い肆宴《とよのあかり》をなした。また、「汝諸王卿等|聊《いささ》か此の雪を賦《ふ》して各《おのおの》その歌を奏せよ」という詔があったので、それに応《こた》え奉った、左大臣橘諸兄の歌である。「降る雪の」は正月のめでたい雪に縁《よ》ってこの語があるのだが、「白髪」の枕詞の格に用いた。「白髪までに」は白髪
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