げ]
あしひきの片山雉《かたやまきぎし》立《た》ちゆかむ君《きみ》におくれて顕《うつ》しけめやも 〔巻十二・三二一〇〕 作者不詳
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 旅立ってゆく男にむかって女の云った歌の趣である。「片山雉」までは「立つ」につづく序詞である。旅立たれるあなたと離れて私ひとりとり残されて居るなら、もう心もぼんやりしてしまいましょう、というので、「顕《うつ》しけめやも」、現《うつつ》ごころに、正気で、確《しっか》りして居ることが出来ようか、それは出来ずに、心が乱れ、茫然《ぼうぜん》として正気《しょうき》を失うようになるだろうという意味に落着くのである。この雉を持って来た序詞は、鑑賞の邪魔をするようでもあるが、私は、意味よりも音調にいいところがあるので棄《す》て難かったのである。「偽《いつわ》りも似つきてぞする現《うつ》しくもまこと吾妹子われに恋ひめや」(巻四・七七一)、「高山と海こそは、山ながらかくも現《うつ》しく」(巻十三・三三三二)、「大丈夫《ますらを》の現心《うつしごころ》も吾は無し夜昼といはず恋ひしわたれば」(巻十一・二三七六)等が参考となるだろう。なお、「春の日のうらがな
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