山鳥の尾の永きこの夜を」(巻十一・二八〇二)の別伝として載《の》っているが、拾遺集恋に人麿作として載り小倉百人一首にも選ばれたから、此処に選んで置いた。内容は、「長き長夜をひとりかも寝む」だけでその上は序詞であるが、この序詞は口調もよく気持よき聯想を伴《ともな》うので、二八〇二の歌にも同様に用いられた。なお、「あしひきの山鳥の尾の一峰《ひとを》越え一目《ひとめ》見し児に恋ふべきものか」(同・二六九四)の如き一首ともなっている。「尾《を》の一峰《ひとを》」と続き山を越えて来た趣になっている。この「あしひきの山鳥の尾の」の歌は序詞があるため却って有名になったが、この程度の序詞ならば万葉に可なり多い。
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巻第十二

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わが背子が朝《あさ》けの形《すがた》能《よ》く見《み》ずて今日《けふ》の間《あひだ》を恋《こ》ひ暮《く》らすかも 〔巻十二・二八四一〕 柿本人麿歌集
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 私の夫が朝早くお帰りになる時の姿をよく見ずにしまって、一日じゅう物足りなく心寂しく、恋しく暮しております、というのである。「朝明《あさけ
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