|生《イキ》もやらず死もはてず、浮きてたゞよふこゝろをたとへたり」(考)といっている。
この第四句は、原文「吾者生鹿」で、旧訓ワレハナリシカ、代匠記ワレハナレルカ。略解《りゃくげ》ワレハイケルカである。この句を旧訓に従って、ナリシカと訓み、解釈を「細砂になりたいものだ」とする説もある(新考)。いずれにしても、細砂の中に自分の命を托する意味で同一に帰着する。「解衣《ときぎぬ》の恋ひ乱れつつ浮沙《うきまなご》浮きても吾はありわたるかも」(巻十一・二五〇四)、「白細砂《しらまなご》三津の黄土《はにふ》の色にいでて云はなくのみぞ我が恋ふらくは」(同・二七二五)等の中には、「浮沙」、「白細砂」とあって、やはり砂のことを云っているし、なお、「八百日《やほか》ゆく浜の沙《まなご》も吾が恋に豈《あに》まさらじか奥《おき》つ島守」(巻四・五九六)、「玉津島磯の浦廻《うらみ》の真砂《まなご》にも染《にほ》ひて行かな妹が触《ふ》りけむ」(巻九・一七九九)、「相模路《さがむぢ》の淘綾《よろぎ》の浜の真砂《まなご》なす児等《こら》は愛《かな》しく思はるるかも」(巻十四・三三七二)等の例がある。皆相当によいもの
前へ
次へ
全531ページ中396ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
斎藤 茂吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング