ヤラデ其アタリノ霜ノ上ニ一夜寝タルトナリ」(代匠記)の解は簡潔でよいから記して置く。新考で、「音速」を、「押し難み」だろうといったが、それは古今集ばり常識である。

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月夜《つくよ》よみ妹に逢はむと直道《ただぢ》から吾は来つれど夜ぞふけにける 〔巻十一・二六一八〕 作者不詳
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「直道」は、真直な道、まわり道しない道のこと、近道。「から」は「より」と同じで、「之乎路《しをぢ》から直越《ただこ》え来れば羽咋《はぐひ》の海朝なぎしたり船楫《ふねかぢ》もがも」(巻十七・四〇二五)、「直《ただ》に行かず此《こ》ゆ巨勢路《こせぢ》から石瀬《いはせ》踏み求《と》めぞ吾が来し恋ひて術《すべ》なみ」(巻十三・三三二〇)、「ほととぎす鳴きて過ぎにし岡傍《をかび》から秋風吹きぬよしもあらなくに」(巻十七・三九四六)などの「から」は皆「より」の意味だから、只今私等の使う「から」は既にこの頃からあったのである。この歌は、急いでまわり道もせずに来たが、それでも夜が更《ふ》けたという、そこに感慨があるのである。直接に女に愬《うった》えていない
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