は恋ふるか」(巻十二・二八九九)の例がある。実に甲斐のない、まことにつまらないという程の語である。「わらは」は童男童女いずれにもいい、「老人《おいびと》も女童児《をみなわらは》も、其《し》が願ふ心|足《だら》ひに」(巻十八・四〇九四)の例がある。
恋愛の歌は若い男女のあいだの独占で、それゆえ寒山詩にも、老翁娶[#二]少婦[#一]、髪白婦不[#レ]耐、老婆嫁[#二]少夫[#一]、面黄夫不[#レ]愛、老翁娶[#二]老婆[#一]、一一無[#二]棄背[#一]、少婦嫁[#二]少夫[#一]、両両相憐態、とあるのだが、万葉には稀《まれ》にこういう老人の恋の歌もあるのは、人間の実際を虚偽なく詠歎したのが残っているので、賀茂真淵《かものまぶち》が、「古《いにし》への世の歌は人の真心なり」云々《うんぬん》というのは、こういうところにも触れているのである。なお万葉には、竹取《たかとりの》翁と娘子等の問答(巻十六)のほかに、石川女郎《いしかわのいらつめ》の、「古りにし嫗《おむな》にしてや斯くばかり恋にしづまむ手童《たわらは》の如《ごと》」(巻二・一二九)があり、「いそのかみ布留《ふる》の神杉《かむすぎ》神《
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