》ひうらがれにけり 〔巻十一・二四六五〕 柿本人麿歌集
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 同上、人麿歌集出。一首の意は、私の夫を待遠しく恋しがって居ると、家の庭の草さえも思い悩んで枯れてしまいました、というので女の歌である。「吾が恋ひ居れば吾が屋戸の」という具合に、「わが」を繰返しているのは、意識的らしく、少しく軽く聞こえるが、「草さへ思ひうらがれにけり」という息の長い、伸々した調《しらべ》によって落着《おちつき》を得ているのは注意すべきである。特にこの下の句は伸びているうちに、悲哀の感動を含めたものだから、上の句の稍《やや》小きざみになったのは自然の調べなのか、よく分らないが、「我が」を三つも繰返したのは感心しない。そこに行くと、「君待つと吾が恋ひ居ればわが屋戸《やど》の簾《すだれ》うごかし秋の風吹く」(巻四・四八八)の方が旨《うま》い。似ているが初句の「君待つと」で緊《しま》っている。結句は、近時橋本氏によって、ウラブレニケリの訓が唱えられた。

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山萵苣《やまちさ》の白露《しらつゆ》おもみうらぶるる心《こころ》を深《ふか》み吾《わ》が恋
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