ある。どうしても、この「ほどろに」には、何かを慕い、何かを要求し、不満を充《み》たそうとねがうような語感のあるとおもうのは、私だけの錯覚であろうか。「今か今か」と繰返したのも、女の語気が出ていてあわれ深い。
巻十二(二八六四)に、「吾背子を今か今かと待ち居るに夜の更《ふ》けぬれば嘆《なげ》きつるかも」。巻二十(四三一一)に、「秋風に今か今かと紐《ひも》解きてうら待ち居るに月かたぶきぬ」がある。
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はなはだも夜《よ》深《ふ》けてな行《ゆ》き道《みち》の辺《べ》の五百小竹《ゆざさ》が上《うへ》に霜《しも》の降《ふ》る夜《よ》を 〔巻十・二三三六〕 作者不詳
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「五百小竹《ゆざさ》」は繁った笹のことで、五百小竹《いおささ》の意だと云われている。もう繁った笹に霜が降ったころです、こんなに夜更《よふけ》にお帰りにならずに、暁になってからにおしなさい、といって、女が男の帰るのを惜しむ心持の歌である。全体が民謡風で、万人の唄《うた》うのにも適《かな》っているが、はじめは誰か、女一人がこういうことを云ったものであろう、そこに
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