は長谷の谿《たに》を流れ、遂に佐保川に合する川である。
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旅人《たびびと》の宿《やど》りせむ野《ぬ》に霜《しも》降《ふ》らば吾《わ》が子《こ》羽《は》ぐくめ天《あめ》の鶴群《たづむら》 〔巻九・一七九一〕 遣唐使随員の母
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天平五年夏四月、遣唐使(多治比真人広成《たじひのまひとひろなり》)の船が難波を出帆した時、随行員の一人の母親が詠んだ歌である。長歌は、「秋萩を妻|問《ど》ふ鹿《か》こそ、一子《ひとりご》に子|持《も》たりといへ、鹿児《かこ》じもの吾が独子《ひとりご》の、草枕旅にし行けば、竹珠《たかだま》を繁《しじ》に貫《ぬ》き垂り、斎戸《いはひべ》に木綿《ゆふ》取《と》り垂《し》でて、斎《いは》ひつつ吾が思ふ吾子《あこ》、真幸《まさき》くありこそ」(巻九・一七九〇)というのである。
この短歌の意は、私の一人子《ひとりご》が、遠く唐に行って宿るだろう、その野原に霜が降ったら、天の群鶴よ、翼を以て蔽《おお》うて守りくれよ、というのである。この歌の「はぐくむ」は翼で蔽うて愛撫する意だが、転じて養育することとな
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