詳である。この御歌の調べ高いのは、やはり時代的関係で人麿などを中心とする交流のためだかも知れない。この歌にも寓意を考え、「此歌上句ハ佞人《ねいじん》ナドノ官ニ在テ君ノ明ヲクラマシテ恩光ヲ隔ルニ喩《たと》へ、下句ハソレニ依テ細民ノ所ヲ得ザルヲ喩フル歟」(代匠記)等というが、こういう解釈の必要は毫も無い。

           ○

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御食《みけ》むかふ南淵山《みなぶちやま》の巌《いはほ》には落《ふ》れる斑雪《はだれ》か消《き》え残《のこ》りたる 〔巻九・一七〇九〕 柿本人麿歌集
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 弓削皇子《ゆげのみこ》に献った歌一首という題があり、人麿歌集所出の歌である。「御食《みけ》むかふ」は、御食《みけ》に供える物の名に冠らせる詞で、此処の南淵山《みなぶちやま》に冠らせたのは、蜷貝《みながい》か、御魚《みな》かのミナの音に依《よ》ってであろう。当時は蜷貝を食用としたから、こういう枕詞が出来たものである。南淵山は高市郡高市村字冬野から稲淵にかけた山である。
 一首の意は、南淵山を見ると、巌の上に雪が残っておる、これは先《さき》ごろ降った春の斑雪《はだれ
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