さに大丈夫の行くべき行旅である。ゆめおろそかに思うな、大丈夫の汝等よ、と宣うので、功をおさめて早く帰れという大御心が含まれている。「行くとふ」の「とふ」は「といふ」で、天地のことわりとして人のいう意である。「おほろかに」は、おおよそに、軽々しく、平凡にぐらいの意で、「百種《ももくさ》の言《こと》ぞ隠《こも》れるおほろかにすな」(巻八・一四五六)、「おほろかに吾し思はば斯くばかり難き御門《みかど》を退《まか》り出《で》めやも」(巻十一・二五六八)等の例がある。御製は、調べ大きく高く、御慈愛に満ちて、闊達《かったつ》至極のものと拝誦し奉る。「大君の辺にこそ死なめ」の語のおのずからにして口を漏るるは、国民の自然のこえだということを念《おも》わねばならぬ。短歌はかくの如くであるが、長歌は、「食国《をすくに》の遠《とほ》の御朝廷《みかど》に、汝等《いましら》が斯《か》く罷《まか》りなば、平らけく吾は遊ばむ、手抱《たうだ》きて我は御在《いま》さむ、天皇《すめら》朕《わ》がうづの御手《みて》もち、掻撫《かきな》でぞ労《ね》ぎたまふ、うち撫でぞ労《ね》ぎたまふ、還《かへ》り来む日|相《あい》飲《の》ま
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