から滲出で来る悲哀はそれに本づいている。旅人の歌は、あまり早く走り過ぎる欠点があったが、この歌にはそれが割合に少く、そういう点でもこの歌は旅人作中の佳作ということが出来るであろう。旅人は、讃酒歌《さけをほむるうた》のような思想的な歌をも自在に作るが、こういう沁々《しみじみ》としたものをも作る力量を持っていた。なおこの時、「往くさには二人吾が見しこの埼をひとり過ぐれば心悲しも」(巻三・四五〇)という歌をも作った。やはり哀《あわれ》深い歌である。
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妹《いも》として二人《ふたり》作《つく》りし吾《わ》が山斎《しま》は木高《こだか》く繁《しげ》くなりにけるかも 〔巻三・四五二〕 大伴旅人
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旅人が家に帰って来て、妻のいない家を寂しみ、太宰府で亡くした妻を悲しむ歌で、このほかに、「人もなき空《むな》しき家は草枕旅にまさりて苦しかりけり」(巻三・四五一)、「吾妹子《わぎもこ》がうゑし梅の木見る毎に心むせつつ涕《なみだ》し流る」(同・四五三)の二首を作っているが、共にあわれ深い。
此一首の意は、亡くなった妻と一しょにな
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