の歌の、「石戸わる手力もがも」は、その時の心その儘であろう。二つとも女性としての云い方、その語気が自然に出ていて挽歌としての一特色をなしている。共に悲しみの深い歌で、第二の歌の誇張らしいのも、女性の心さながらのものだからであろう。

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八雲《やくも》さす出雲《いづも》の子等《こら》が黒髪《くろかみ》は吉野《よしぬ》の川《かは》の奥《おき》になづさふ 〔巻三・四三〇〕 柿本人麿
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 出雲娘子《いずものおとめ》が吉野川で溺死した。それを吉野で火葬に附した時、柿本人麿の歌った歌二首の一つで、もう一つのは、「山の際《ま》ゆ出雲の児等は霧なれや吉野の山の嶺に棚引く」(巻三・四二九)というので、当時大和では未だ珍しかった火葬の烟《けむり》の事を歌っている。この歌の、「八雲さす」は「出雲」へかかる枕詞。「子等」の「等」は複数を示すのでなく、親しみを出すために附けた。生前美しかった娘子の黒髪が吉野川の深い水に漬《つか》ってただよう趣で、人麿がそれを見たか人言に聞きかしたものであろう。いずれにしてもその事柄を中心として一首を纏《ま
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