《を》りけむ 〔巻七・一一一八〕 柿本人麿歌集
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 詠[#(メル)][#レ]葉[#(ヲ)]歌、人麿歌集にある。一首の意は、古人も亦、今の吾のように、三輪山の檜原に入来《いりき》て、※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]頭《かざし》を折っただろう、というので、品佳く情味ある歌である。巻二(一九六)の人麿の歌に、「春べは花折り※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]頭《かざし》し、秋たてば黄葉《もみぢば》※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]頭《かざ》し」とある如く、梅も桜も萩も瞿麦《なでしこ》も山吹も柳も藤も※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]頭にしたが、檜も梨もその小枝を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]頭にしたものと見える。詠[#レ]葉とことわっていても、題詠でなく、広義の恋愛歌として、象徴的に歌ったものであろう。人麿の歌に、「古にありけむ人も吾が如《ごと》か妹《いも》に恋ひつつ宿《い》ねがてずけむ」(巻四・四九七)というのがある。さすれば此は伝誦の際に民謡風に変化したものか、或は人麿が二ざまに作ったものか、いずれにしても、二つ並べつつ鑑賞して好い歌である。

           ○

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山《やま》の際《ま》に渡《わた》る秋沙《あきさ》の行《ゆ》きて居《ゐ》むその河《かは》の瀬《せ》に浪《なみ》立《た》つなゆめ 〔巻七・一一二二〕 作者不詳
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 詠[#(メル)][#レ]鳥[#(ヲ)]、作者不明。「秋沙《あきさ》」は、鴨の一種で普通|秋沙鴨《あいさがも》、小鴨《こがも》などと云っている。一首の意は、山のあいを今飛んで行く秋沙鴨が、何処かの川に宿るだろうから、その川に浪立たずに呉れ、というので、不思議に象徴的な匂いのする歌である。作者はほんのりと恋愛情調を以て詠んだのだろうが、情味が秋沙鴨に対する情味にまでなっている。これならば近代人にも直ぐ受納《うけい》れられる感味で、万葉にはこういう歌もあるのである。「行きて居《ゐ》む」の句を特に自分は好んでいる。「明日香《あすか》川|七瀬《ななせ》の淀《よど》に住む鳥も心あれこそ波立てざ
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