島木赤彦臨終記
斎藤茂吉

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)筈《はず》である。

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)藤沢|古実《ふるみ》君

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]
−−

     一

 大正十五年三月十八日の朝、東京から行つた藤沢|古実《ふるみ》君が、※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]蔭山房《しいんさんばう》に赤彦君を見舞つた筈《はず》である。ついで摂津|西宮《にしのみや》を立つた中村憲吉君が、翌十九日の午《ひる》ちかくに到著した筈《はず》である。廿日夜、土屋文明《つちやぶんめい》君が東京を立つた。
 翌廿一日の午《ひる》過ぎに、百穂《ひやくすゐ》画伯、岩波|茂雄《しげを》さんと僕とが新宿駅を立つた。たまたま上京した結城哀草果《ゆふきあいさうくわ》君も同道した。少しおくれて東京から高田|浪吉《なみきち》、辻村|直《なほし》の両君が立ち、神戸から加納暁《かなふあかつき》
次へ
全27ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
斎藤 茂吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング