それが殆ど毎日の仕事である。女が相手をする。名家の育ちだけあってものごしは上品で、言葉つきもやさしい。色は衰えたといってもまだ残《のこ》んの春を蓄《たくわ》えている。面《おも》だちは長年の放埒《ほうらつ》で荒《すさ》んだやつれも見えるが、目もと口もとには散りかけた花の感傷的な気分の反映がある。そういう女を茶室のうちに据えて見れば、艶《つや》めかしく風流でないこともない。
その女と共に鶴見の継母も相手になる。順番に炉《ろ》の前で、複雑な手前をする。
継母もさる支藩邸の奥向きを勤めて、手もよく書けば歌道も一通り心得ている。継母はこの女を嫌っていた。その心理はよくわかる。父親は父親で、この母が手もうまく和歌も相応によむのを何か出来過ぎでもあるようにして嫌っていた。それも思えば口実であったろう。そして時々訪ねてくる歌の師匠の老人をも嫌っていた。
その老人があの今井克復翁である。大阪で、大塩平八郎の騒動のあったとき、惣年寄《そうどしより》として火消人足を引きつれて大塩父子の隠家《かくれが》を取り巻き、そしてこの父子の最期《さいご》を見届けたという、その人である。大家《たいか》の生れでさすが
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