らす」に傍点]で造《つく》つてあるのが普通《ふつう》であります。これによつても、この時分《じぶん》からすでに色《いろ》がらす[#「がらす」に傍点]がつくられたことがよくわかりますが、無色透明《むしよくとうめい》の板《いた》がらす[#「がらす」に傍点]はまだ世界中《せかいじゆう》どこにもありませんでした。かような玉《たま》は古墳《こふん》が發掘《はつくつ》せられたとき、たいてい土《つち》の中《なか》に混《まじ》つてゐますから、すぐに見《み》つからないことがあります。それで土《つち》を篩《ふるひ》にかけてよく探《さが》さなければなりません。(第六十四《だいろくじゆうし》、五圖《ごず》)
[#「第六十四圖 日本古墳發見勾玉」のキャプション付きの図(fig18371_65.png)入る]
[#「第六十五圖 日本古墳發見玉類及び金裝耳飾り」のキャプション付きの図(fig18371_66.png)入る]
いま申《まを》した、いろ/\の種類《しゆるい》の玉《たま》の中《なか》で、勾玉《まがたま》は日本以外《につぽんいがい》では、たゞ朝鮮《ちようせん》の南方《なんぽう》から出《で》るだけで、他《た》の國《くに》ではほとんど發見《はつけん》せられませんから、まづ日本獨特《につぽんどくとく》の玉《たま》といふことが出來《でき》ます。ところがこの面白《おもしろ》い勾玉《まがたま》の形《かたち》が、どうして出來《でき》たのであるかといひますと、昔《むかし》の人《ひと》が狩《か》りをして獸《けだもの》をとり、その牙《きば》や齒《は》に孔《あな》をあけて飾《かざ》りにした風習《ふうしゆう》が傳《つた》はつて、その牙《きば》や齒《は》の形《かたち》の曲《まが》つたのをまねて、次第《しだい》に勾玉《まがたま》の美《うつく》しい形《かたち》になつたのだと、多《おほ》くの學者《がくしや》はいつてをります。かういふ孔《あな》をあけた獸類《じゆうるい》の牙《きば》や齒《は》は、日本《につぽん》の石器時代《せつきじだい》の遺跡《いせき》や、また外國《がいこく》の遺跡《いせき》からもずいぶんたくさん發見《はつけん》せられますが、勾玉《まがたま》のように美《うつく》しい形《かたち》の玉《たま》は、外國《がいこく》ではまったく見《み》られません。また玉《たま》を體《からだ》につけて飾《かざ》る風習《ふうしゆう》は、世界《せかい》いづれの國《くに》にもありますが、日本《につぽん》は支那《しな》などに比《くら》べて、よけいに玉《たま》を愛《あい》したと見《み》えて、支那《しな》の墓《はか》からはそれほどたくさんの玉《たま》が發見《はつけん》せられることはありません。なほ玉類《たまるい》のほかに體《からだ》へつけた裝飾品《そうしよくひん》には、金鐶《きんかん》といふ銅《どう》にめっき[#「めっき」に傍点]をした環《かん》がありまして、これはたいてい一對《いつゝひ》づゝ出《で》るので、多分《たぶん》耳飾《みゝかざ》りなどに使《つか》つたものと思《おも》はれます。またこの鐶《かん》にはーと[#「はーと」に傍点]型《がた》などの細《こま》かい飾《かざ》りがぶら下《さが》つてゐる、立派《りつぱ》な耳飾《みゝかざ》りが時々《とき/″\》出《で》ることがありますが、これは南朝鮮《みなみちようせん》の古墳《こふん》からたくさん發見《はつけん》せられるもので、朝鮮風《ちようせんふう》のものといふことが出來《でき》ます。(第六十五圖《だいろくじゆうごず》)
(ヘ) 古《ふる》い鏡《かゞみ》
古墳《こふん》から銅《どう》で作《つく》つた鏡《かゞみ》がたくさん出《で》ますが、ことに古《ふる》い時代《じだい》の古墳《こふん》には多數《たすう》の鏡《かゞみ》を棺《かん》の中《なか》に入《い》れてあるのでありまして、時《とき》には一《ひと》つの古墳《こふん》に十枚《じゆうまい》二十枚《にじゆうまい》或《あるひ》はそれ以上《いじよう》あることもあります。そして、その鏡《かゞみ》はたいてい支那《しな》で出來《でき》たものであり、時《とき》にはまた日本《につぽん》で作《つく》つた鏡《かゞみ》もありますが、それもまったく支那《しな》の鏡《かゞみ》をまねて作《つく》つたものであります。ところが支那製《しなせい》の鏡《かゞみ》は皆《みな》、その頃《ころ》大陸《たいりく》から輸入《ゆにゆう》されたものでなくてはなりませんが、不思議《ふしぎ》なことには朝鮮《ちようせん》の南《みなみ》、昔《むかし》の新羅《しらぎ》の國《くに》の古墳《こふん》は日本《につぽん》の古墳《こふん》とよく似《に》てゐて、その中《なか》から勾玉《まがたま》のような日本特有《につぽんとくゆう》のものも出《で》るにかゝはらず、鏡《かゞ
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