《おほ》きいものはどれほどあるかを想像《そう/″\》することが出來《でき》ませう。
 またどるめん[#「どるめん」に傍点]といふ墓《はか》やめんひる[#「めんひる」に傍点]といふ立《た》て石《いし》などには、をり/\圓《まる》や三角《さんかく》だのゝ形《かたち》を石《いし》の上《うへ》に彫《ほ》りつけたのがあつたり、ぽつ/\と大《おほ》きなくぼみを彫《ほ》り竝《なら》べたものがあります。それは何《なに》か宗教上《しゆうきようじよう》の意味《いみ》の現《あらは》しであらうと思《おも》はれます。ヨーロッパの地中海《ちちゆうかい》にあるマルタ島《とう》の大《おほ》きな石《いし》の墓《はか》、あれはどるめん[#「どるめん」に傍点]がだん/\進歩《しんぽ》して複雜《ふくざつ》な型《かた》になつたもので、ずいぶん珍《めづら》しいものゝ一《ひと》つであります。石《いし》の上《うへ》にぽつ/\のくぼみが多《おほ》くつけてあるので有名《ゆうめい》であります。その他《た》巨石記念物《きよせききねんぶつ》といふものゝ中《うち》の風變《ふうがは》りのものは、やはり地中海《ちちゆうかい》のサルジニヤ島《とう》にあるねるげ[#「ねるげ」に傍点]といふもので、これは石《いし》を圓《まる》くつみ上《あ》げ根元《ねもと》は太《ふと》く、先《さき》ほど少《すこ》しづつ細《ほそ》くなつてゐる塔《とう》のようなもので、他《ほか》の地方《ちほう》には見《み》ることが出來《でき》ないものです。

      (ニ) 金屬《きんぞく》の發見《はつけん》と使用《しよう》

 人類《じんるい》は前《まへ》に述《の》べましたとほり、長《なが》い年月《としつき》、石《いし》をもつて器物《きぶつ》を造《つく》つて、金屬《きんぞく》を使用《しよう》することを知《し》らなかつたのでありますが、その間《あひだ》に自《おの》づと天然《てんねん》に石《いし》の間《あひだ》に混入《こんにゆう》したり、あるひは砂《すな》の中《なか》に轉《ころが》つてゐる金屬《きんぞく》などを知《し》り、遂《つひ》にはそれを使用《しよう》するようになつて來《き》ました。そしてそれらの金屬《きんぞく》をもつて造《つく》つた器物《きぶつ》の方《ほう》が、石《いし》で造《つく》つたものよりは工合《ぐあひ》のよいことを知《し》つてからは、だん/\石《いし》の代《かは》りに金屬《きんぞく》で造《つく》るようになりました。さて金屬《きんぞく》の中《うち》で一番《いちばん》早《はや》く發見《はつけん》されたのはなんであるかと申《まを》しますと、金《きん》と銅《どう》と鐵《てつ》の三種《さんしゆ》であつたようであります。しかし金《きん》は綺麗《きれい》で裝飾《そうしよく》にはなりますが、質《しつ》が軟《やはら》かくて刃物《はもの》などにしては實際《じつさい》の役《やく》に立《た》ちません。それで銅《どう》と鐵《てつ》の二《ふた》つの中《うち》、いづれかゞ使用《しよう》されることになりましたが、果《はた》してどちらが先《さき》に使用《しよう》されたかについては今《いま》なほ議論《ぎろん》があります。一方《いつぽう》には鐵《てつ》の方《ほう》が地中《ちちゆう》から掘《ほ》り出《だ》すことが容易《ようい》でありますから、早《はや》くから使《つか》はれたとの説《せつ》がありますし、また一方《いつぽう》にはエヂプトのごく古《ふる》い時代《じだい》に、もう鐵《てつ》が發見《はつけん》されてゐたといふこともありますが、實際《じつさい》のところ今日《こんにち》遺《のこ》つてゐる種々《しゆ/″\》な器物《きぶつ》から考《かんが》へますと、銅《どう》と錫《すゞ》との合金《ごうきん》である青銅《せいどう》が、一番《いちばん》早《はや》く石《いし》に代《かは》つて廣《ひろ》く使用《しよう》されることになつたといふべきでありませう。
 それならば、その銅《どう》は最初《さいしよ》どこで發見《はつけん》されたかといふに、それはやはりはっきりわかりませんが、とにかくアジアの西方《せいほう》においてまづ盛《さか》んに使用《しよう》されたし、それが南《みなみ》ヨーロッパに入《い》り、遂《つひ》には中央《ちゆうおう》ヨーロッパから北《きた》ヨーロッパにだん/″\廣《ひろ》がつて行《い》つたといふことだけは確《たし》かにわかるのであります。この銅《どう》、あるひは青銅《せいどう》を使《つか》つた人間《にんげん》は、前《まへ》に申《まを》した新石器時代《しんせつきじだい》の人類《じんるい》とやはり同《おな》じ人種《じんしゆ》で、石《いし》で造《つく》つた斧《をの》のような器物《きぶつ》を、初《はじ》めはそれと同《おな》じ形《かたち》に金屬《きんぞく》をもつて造《つく》
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