人類の歴史の上には土器の發明に次ぐ文明史上の大發明であつたに違ひなく、舊石器時代には未だ石鏃はなく、新石器時代になつて始めて是が現はれるのである。而かも金屬器の時代に入つても、始めのうちはなほ使用せられて居つたことは、希臘ミケーネの墓から出てゐるのでも分かる。此の小形の石器はなか/\製作に技巧を要するので、容易に僞物は出來ない。私自身も子供の頃よく眞似て見たが、直ぐに割れてしまつて到底作られなかつた。ホームス氏などが、米國土人の間に殘つてゐた製作を調べて、これは黒曜石などを火にくべて脆くしたのを、骨器で壓しつけてへぐのであると云ふ。かの有名な僞石器製作家フリント・ヂヤックは一本の鐵の細い棒でかなりな所までやつてゐるが、未だ厚手のものしか出來なかつた。
[#「石鏃の分類」の図(fig42154_02.png)が入る]

          六

 石鏃の形式分類は、日本でもやつた人があり、西洋にもあるが、オチス・メーソン氏の本に出てゐるのは全く器械的であり、エヴアンス氏や、デシユント氏の方がよい樣に思ふ。要するに、三角形と柳葉形とが基本形で、それから雁股形や有柄状などのものが出て來るので
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