、だが、そんなことはどうでもよかった。
「そうら、雨よ。御家へ入りましょう」
 行雄をかかえて座敷に入った。二三日つづきそうな雨だった。植木が、つやつやした葉をして、その奥から沈丁花の香りが、かすかに流れて来た。
[#地から1字上げ]〈昭和二十五年八月〉



底本:「久坂葉子作品集 女」六興出版
   1978(昭和53)年12月31日初版発行
   1981(昭和56)年6月30日6刷発行
入力:kompass
校正:松永正敏
2005年5月27日作成
2005年10月19日修正
青空文庫作成ファイル:
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