中に、私は喜びや生甲斐を発見するのだろうと考えた。誰かを愛して居り度いと思った。そして自分の愛情に応えてほしいとのぞんだ。私は兄の友達や、電車通学で会う若い人に気持を奪われてみたいと念じたけれど、誰もかも魅力はなかった。
学校はだんだん学校らしくなって来た。女性同志の恋愛ごっこのようなものが急に流行しはじめた。リボンを頭につけたり、定期入の中に写真をしのばせたり、制服がそろわないので私服のゆるしがあるままに、色彩がだんだん華やかになって来た。私は女らしさに欠けており、又体裁をかまわないことを一種の誇のように思っていたから、相変らず戦争中の作業衣ともんぺを着て頭髪はもしゃくしゃにしていた。ところがそういった風貌が宝塚の男役のように女性から慕われた。同級生達から毎日のように、ピンクやブルーの封筒を渡され、涙っぽいつづけ字の手紙をよまされた。私は手紙をかく事を好んでいたのですぐ乱暴な字でノートの端くれに返事をかいた。それ等の女性に対して何ら興味はなかったものの、手紙をかくたのしみだけで大勢の人と交際しはじめた。私の学校での生活は目立って注目を浴びるようになった。私は少しずつ活気づいて来て幼
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