どんどん命令し、年寄った彼等は表面へいこらしていた。老嬢のヒステリーはしばしば起った。太ったお尻をふりまわしながら怒り散らした。彼女の雑用は私にまわされていたので度々社長室へはいることが出来た私は、彼女の社長前の、甘ったれた言葉が滑稽に思われた。ドア一つのへだたりで巧みに自分の表情の動きから、音声に至るまですっかり変えることの出来る彼女をみているのは興味の一つであった。嫉妬やそしりはたえずくりかえされていた。それにまた、誰と誰とが仲が良すぎるとか、誰がひがんでいるとやらそんな小さなことが仕事の上にも影響して秘書から社長へ筒抜けであることや、社長がそんなことまでに干渉するということが馬鹿げているとさえ思われながら、そんなことが出世に大きなひびきがあることを知った。私は一番年少者であったし誰とも事件をまき起さないでいたけれど、後からはいってくる女の子達よりいつも末席におかれていた。それは、事務能力がなかったからである。簿記も算盤も出来なかった。タイプライターも打てず、布地をいじることも知らなかった。私は別に、後から追い抜いてゆく同僚に嫉妬しなかった。末席は一番多忙でありながら、これ以上おち
前へ
次へ
全134ページ中106ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
久坂 葉子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング