分の彼への愛をみとめてしまったのです。彼の本当の愛情を感じることが出来たんです。彼を私は誤解してたんです。彼はやっぱり、私を真実に愛してくれてました。現実とか、社会とか、そんなことをはなれて、愛し合うのだとお互い申し合せました。彼には子供が生れ、私は、その一人の、私にとって何かみえないつながりのあるその子供のことのために、彼の妻より一歩さがった、愛情をもちつづけはじめたんです。彼のことを悪く云い、そう思ってた私自身を、恥じました。大へんな罪悪感なんです。でも彼は私をとがめなかった。ゆるしてくれたのです。後悔しない。私は今幸せだ。私のその言葉に、彼は、喜んでくれたのです。二人で歩きました。小母さん。私達は、ある横道の、うすぐらい道のほとりにある、一部屋にはいりました。あなたの子供がほしい。私はさけんだのです。小母さん。私は真実それをねがった。だけど小母さん。私は、新しく愛した人の存在が、私のすぐ傍によこたわっていることに気づきました。別れるなんぞ云わない。又会う日までと云って、自動車から降りて行った過去のその人の後姿を見送って、一人になった時、私は、恐しさで一ぱいでした。私は家へかえり、
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