に眠ったふりをしていました。そして、大阪のとある喫茶店から、鉄路のほとりの行ってそうなところへ電話をしました。不在でした。私は、青白き大佐にわかれて、もう一つの場所、鉄路のほとりが行ってそうなところへゆきました。そこにも居ませんでした。そこは、緑の島がいるところです。私は彼に会ってみようかと思いました。その心の動きは、私自身説明出来ぬものです。わりきれぬものです。然し、緑の島は居りませんでした。私は、いつもの喫茶店へゆき、もう一軒、鉄路のほとりの居そうなところへ電話をしました。居ました。彼の声はひどく冷淡なものでした。待っているように云われました。じきに来るような様子でした。ところが、一時間半、いや二時間も待ったでしようか。彼はきません。私はおちつきませんでした。私の好きな、フランチェスカッテーのヴァイオリンを耳にしながら、パーガニーニとサンサーンス。心はざわめいておりました。やっと、彼は五時頃やって来ました。ひどくむっつりしてました。客が混んでましたから、二人はすぐに出て、歩きはじめました。二十四日のことを云いますと、彼は、電話なんかしなかったんだと云いました。唯、神戸へ行きたくて行
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