人と、いつもジャンジャン横丁へ行き、私は、随分歌をうたいました。そして、自宅へもどったのです。二十日の月曜日は、昼間、私は何をしたかすっかり忘れましたが、夜は、約束のカクテルパーティーに、令嬢を伴って、出かけたものです。さてその帰り、私は、どうしても、鉄路のほとりに会いたい気になったのです。私は京都へ行こうかと思いました。ところが、ハンドバッグの中には、百円札が二枚と、十円札がわずか。今から京都へ行っても、市電はなし、かかとの高い靴をはき、シルクのいでたちだったので、まさか歩くわけにもゆきません。私は、鉄路のほとりに電報を打ちました。明日午後三時に大阪のいつもよくゆく喫茶店で会いたいと。私は、とにかく、もう一度どうしても会いたかったのです。単にそれだけ。そして会ってから、黒部へたつつもりでした。令嬢を、自動車で送り届け、私は、自宅へ。机の上などをかたづけ、お風呂にもはいり、まっさらの下着を身につけて寐ました。
小母様。二十二日が来るのです。私は、いつもより以上に、家庭であいきょうをふりまき、ほほえみかけました。そして十時半頃、最近かったスピッツとじゃれたりしてから外へ出ました。ズボン
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