告げた。けれども仁科夫人を招待するとは云わないでいた。
「六ちゃんに、あなたから伝えて下さいませね、ぜひ、カレワラへ七時にね」
蓬莱和子は、南原杉子に対して憎しみだけは依然として内部にもっていた。そして、土曜日に、南原杉子が、うろたえた姿を想像してみた。蓬莱和子は、南原杉子と仁科六郎の恋愛を認めていたからなのだ。そして、夫婦のつながりが、案外強靭でゆるがないものであることを、南原杉子にみせつけたかったのだ。彼女は、仁科夫婦をみて、嫉妬する南原杉子を考えていたのだ。
仁科六郎と会った阿難は、土曜日の招待の話をした。
「他人の目のあるところで、あなたに接するのはとてもいやよ。でも、行きたくないけど行かなきゃならないわね。阿難は、仮面かぶらなければならないの、阿難は、阿難をその間葬ってしまうのがかなしいわ」
「僕だって行きたくない。だけど行かねばならないね、僕達の間が永続するように、ありのままの姿を、他人の前にさらけ出すことはさけなきゃならないよ。とにかく、行こう。阿難は、蓬莱氏を知らないだろう? いい人だ」
瞬間、南原杉子が表面にあらわれた。
「一二度、カレワラで御目に掛ったわ」
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