もしもし、蓬莱建介でございます」
「なんだ、あなたなの」
「どうして電話くれない?」
「あなただってくれない。待っていたのよ」
「きょう、きみの生活に、少し割こむ余地があるかい」
「ある。ガラアキ」
「六時」
「カレワラで」
「駄目、梅田のね、そら新しいビルの地下で」
「わかった」
 南原杉子はガチャリと受話器をかけた。阿難が、いたましいさけび声をあげた。

「不思議だね。僕が今迄抱いていた女性観がくつがえされそうな気がして来た」
 蓬莱建介は、南原杉子を、たった二時間だけの相手に出来なくなって来たようだ。今迄のように、二時間後に、これでしまいと決め、次はさらりとした気持で新しい女に自分をむかわせる。そして、又偶然別れた女に出会えば、出会った時に新鮮になれる。ところが南原杉子の一夜の後、彼女を、他の女性のように、簡単に処理出来なくなった。
「あなたは、スポットガールを何故私に会わせたのでしょうね」
 しばらく笑っていた南原杉子が突然話題を転じた。
「深い意味はないがね」
「そう、それなら、スポットガールのこと私忘れてしまうわね。ちょっと煩雑すぎて来たから」
「何が」
 南原杉子は答えな
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