督促した。成はその期限を十日あまりも遅らしたので、その罰で百杖|敲《たた》かれて、両股の間が膿《う》みただれ、もういって虫を捉えることもできなくなった。
 成は牀《ねだい》の上に身を悶えて、ただ自殺したいとばかり思っていた。その時村へ一人のせむしの巫《みこ》が来て、神を祭って卜《うらない》をした。成の細君は金を持って巫の所へ成の身の上のことを訊《き》きにいった。そこには紅女や老婆が門口を塞《ふさ》ぐように集まっていた。成の細君もその舎《いえ》へ入っていった。そこには密室があって簾《すだれ》を垂れ、簾の外に香几《こうづくえ》がかまえてあった。身の上のことを訊《き》く者は、香を鼎《こうろ》に焚《た》いて再拝した。巫は傍から空間を見つめて代って祝《いの》った。その祝る唇《くちびる》が閉じたり開いたりしているが何をいっているか解らなかった。身の上のことを訊こうとしている者は、それぞれ体をすくめるように立って聴いていた。と、暫くして簾の内から一枚の紙を投げだした。それにはその人の思うことをいってあったが、すこしもちがうということがなかった。成の細君は前の人がしたように銭を案《つくえ》の上に置いて
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