後からゆくことにした。そして婢が帰っていって暫くしても、阿英は坐って冗談をいって動かなかった。※[#「王+玉」、第3水準1−87−90]は嫂を長く待たしてはいけないと思って、阿英を促《うなが》したが阿英は笑うばかりで、どうしてもいかなかった。朝になって阿英が身じまいをすましたところで嫂が自身で阿英をなぐさめに来た。嫂はいった。
「昨夜一緒にいるとき、ふさいでいたから、どうかと思って見に来たのですよ。」
 阿英は微かに笑った。※[#「王+玉」、第3水準1−87−90]は嫂の言葉を聞いて驚いた。阿英は朝まで※[#「王+玉」、第3水準1−87−90]と一緒にいたのであった。嫂の所にいたというのは奇怪千万《きかいせんまん》である。※[#「王+玉」、第3水準1−87−90]は嫂に阿英がいっていたかいないかをたしかめたうえで阿英と対質《たいしつ》した。阿英の言薬はつじつまが合わなかった。阿英は確かに分身していた。嫂は非常に駭《おどろ》いた。玉もそれを聞いて懼《おそ》れた。玉は簾《すだれ》を隔てていった。
「私の家は、代代徳を積んでいて、一度だって怨《うら》みをかったことがない。もし怪しい者なら、ど
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