返しをするのでしょうから、まちがいはないでしょう。」
 嫂は阿英を止めてその晩は寝さしたが、夜の明けきらないうちにもういってしまった。
 玉は東粤《とうえつ》で乱を聞いて昼夜兼行で帰って来たところで、途で土寇の一群に遇った。主従は馬を乗りすてて金を腰にしばりつけ、草むらの中に匿れていた。鸚鵡《おうむ》のような一羽の秦吉了《しんきちりょう》が飛んで来て棘《いばら》の上にとまって、翼《つばさ》をひろげて二人を覆《おお》った。玉は下からその足を見た。一方の足には一本の爪がなかった。玉は不思議に思った。俄に盗賊が四方から迫って来て、草むらの中をさがしだした。主従は息をころして動かなかった。盗賊の群はいってしまった。すると鳥が始めて飛んでいった。そこで家へ帰ってそのことを家の者に話した。玉は始めて秦吉了がいつか救った美しい女であったということを知った。
 後になって玉が他出して帰らないようなことがあると、阿英はきっと夕方に来て、玉が帰る時刻を計って急いで帰っていった。※[#「王+玉」、第3水準1−87−90]は嫂の所で阿英に逢うようなことがあると、おりおり自分の室《へや》へ伴《つ》れていこうとし
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