って、ベスナル・グリーンへ馬車をやれと言いつけているのを聞いた。御者はそこまで馬車をやることをあまり好《この》まないように見えた。マチアとわたしは、きっとそこは遠方なせいであろうと思った。
 わたしたち二人はグリーン(緑)というイギリス語がどういう意味だか知っていた。ベスナル・グリーンはきっとわたしの一家の住んでいる大きな公園の名前にちがいなかった。長いあいだ馬車はロンドンのにぎやかな町を走って行った。それはずいぶん長かったから、そのやしきはきっと町はずれにあるのだと思った。グリーンということばから考えると、それはいなかにあるにちがいないと思われた。でも馬車から見るあたりの景色《けしき》はいっこうにいなからしい様子にはならなかった。わたしたちはひどくごみごみした町へはいった。まっ黒などろが馬車の上にはね上がった。それからわたしたちはもっとひどいびんぼう町のはうへ曲がって、ときどき御者《ぎょしゃ》も道がわからないのか、馬車を止めた。
 とうとうかれはすっかり馬車を止めてしまった。ハンサムの小窓《こまど》を中に、グレッス・アンド・ガリーの書記さんと、困《こま》りきった御者《ぎょしゃ》との間
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